Road to the Red Cross

赤十字への道

おそらく、世界中の誰もが、紛争もない、戦争もない、そして災害もない平穏で平和な日々を望んでいるのでしょうが、
人類の長い歴史を辿ってみても、残念ながら、そのようなわけには行かないようです。
しかし、だからこそ、アンリー・デュナンが最初に唱えたように、平和な時に、平和な人々が、そのための準備と、
救済活動を続けて行くことが大切です。

ぼくは、赤十字の広報の一員として、今まで何度も救済の現場を視察してきました。
そして、その中で、他のなにものにも変えられないようなとても純粋で、美しい笑顔が生まれている瞬間に立ち会いました。
そのことに、深く感動したことはもちろんのこと、同時に、その赤十字という仕組みをもっと知りたいと思いました。
そんな中で、広報特使の藤原紀香さんと共に、「赤十字誕生の軌跡」を辿るためにソルフェリーノに向かいました。
そして、モンブランの頂を越えてジュネーブへ。赤十字誕生への道は、彼の人生と重ね合わせてみても、
けっして平坦な道ではありませんでしたが、不思議とその道を辿れば、辿るほど、
アンリー・デュナンのあたたかい想いが伝わってきました。
そのことがもっと知りたく、ぼくは再び、ソルフェリーノ、そしてジュネーブへの道を歩きました。
そして、彼が長らく隠遁生活を過ごしていたハイデンへも。その中で、きわめて人間的ないくつかのエピソードに出会いました。
そのすべてがあるからこそ、今の赤十字はある、そんな風に思います。
少なくとも、そのおかげで、現在世界189カ国におよぶ、世界最大の人道団体としての赤十字が存在しています。

そして、これからも、いつまでも、そこから生まれるほんとうの笑顔と、
きっと心のどこかでアンリー・デュナンも追い続けていたであろうこの世界が、
あたたかい光であふれる瞬間を見続けていきたいと思っています。

菅原一剛

Book

本の紹介

赤十字が誕生したのは19世紀後半。創設者であるアンリー・デュナンが、戦場で傷つき苦しむ兵士たちの姿を目にし、「人間はいかなる時も人間らしく扱われるべきではないか」という思いから、「戦時においては、負傷者は敵味方の区別なく救護する」負傷者救護の団体設立を思いついたのがきっかけでした。そのアンリー・デュナンがどのような光景を目にし、どのような思いと共に赤十字という組織をつくっていったのか。その旅路をゆっくりと歩きながら、その思いを追いかけました。そしてそれは、おそらくアンリー・デュナンも見ていたであろう、そこにあるあたたかい光を探す道のりでもありました。そして、その光と思いはやがて、赤十字という今や世界に欠かすことができない大きな組織となりました。その原点にあるあたたかい思いを、けっしていつまでも忘れないように、そんな思いを込めて、この写真集は作られました。そのあたたかさが、少しでも伝わることを願って、そして、いつまでも心のどこかに、その光を感じてもらえることを願って。

人間を救うのは、人間だ。

  • 名称:赤十字への道
  • 著者:菅原一剛
  • 発行:ユーフォリアファクトリー
  • 発売:講談社エディトリアル
  • 発売日:2014年5月8日
  • ISBN 978-4-907514-05-1
  • 定価:本体4000円+税
  • A4変形/152ページ

Ichigo Sugawara

菅原一剛

写真家。1960年札幌生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業後、早崎治氏に師事。フランスにて写真家として活動を開始して以来、数多くの個展を開催。1996年に撮影監督を務めた映画『青い魚』は、ベルリン国際映画祭に正式招待作品として上映される。2004年、フランス国立図書館に作品がパーマネントコレクションとして収蔵される。2005年、ニューヨークのPace MacGill Galleryにて開催された「Made In The Shade」展にロバート・フランク氏と共に参加。2010年、サンディエゴ写真美術館に作品が収蔵される。2013年、作品集『Daylight|Blue』上梓。日本赤十字社契約写真家。

www.ichigosugawara.com